運ぶ側の話です。
令和7年5月14日に、危険物の規制に関する政令などが改正されました。施行はその翌日です。
中身のひとつが、電池を運ぶときの話でした。
先に結論
- リチウムイオン電池を運ぶとき、危険物の運搬容器に入れなくてよくなった
- 条件は、段ボールなどで包装・梱包すること
- 耐火性の箱に入れる方法でもよい
- 根拠は 新規則第43条の3(令和7年総務省令第49号)
- ただし、そもそも危険物に当たらない量なら、この話は関係ありません

ステップ1:これまで何が問題だったか
消防法では、危険物を運ぶときは「運搬容器」に入れるのが原則です。
この運搬容器は、基準が決められています。 材質・構造・容量。普通の段ボール箱やコンテナでは足りません。
ところが、電池をそのまま入れられる運搬容器は、現場にありません。
- 電池は液体ではなく、製品の形をしている
- 中身(電解液)が危険物として数えられるだけ
- 「液体用の容器に、固体の製品を入れる」という、かみ合わない状態
だから現場では、どうしていいか分からなくなっていました。
ステップ2:何が変わったか
改正で、こう決まりました。
リチウムイオン蓄電池を以下の方法により運搬する場合は、運搬容器に収納せずに積載することができる
その「以下の方法」が、これです。
| 方法 | 中身 |
|---|---|
| 包装・梱包する | 水が浸透する素材(段ボールなど)で包む |
| キュービクル式の設備 | 設備ごと運ぶ場合 |
| 耐火性の箱に入れる | 耐火性収納箱のこと |
| 試験等に用いるもの | 保安上支障のない方法で |
一番上が、現場で使える形です。

「水が浸透する素材」が、ポイントです
段ボールでいい、と書いてあります。 ですが、理由を見ると納得できます。
「水が浸透する素材」と指定されています。
つまり、火が出たときに、水が中まで届くようにということです。
電池の火は、表面を消しても内部で反応が続きます。ビニールやプラスチックで密閉すると、水が中に入らず、消せません。
段ボールは、水を通します。 だから選ばれています。
「安いから段ボールでいい」ではなく、「水が通るから段ボール」です。 ここを取り違えて防水の袋に入れると、逆の結果になります。
ステップ3:で、うちは関係あるのか
ここが大事なところです。
この話は、電池が消防法上の危険物として扱われる量になって、初めて関係します。
- 量が少なくて指定数量の線に届いていないなら、そもそも運搬容器の規制がかかりません
- その場合、この特例を気にする必要もありません

関係してくるのは、こういう場合です。
- まとまった量の廃電池を、定期的に運んでいる
- 処分場まで、何箱も積んで走っている
- 消防から「運搬容器はどうしていますか」と聞かれたことがある
心当たりがなければ、今は読み流して構いません。 量が増えたときに思い出してください。
同じ改正で、保管のほうも変わりました
運搬だけでなく、屋内貯蔵所での保管についても、同じ3つの方法で容器に収納せずに貯蔵できるようになりました(新規則第40条等)。
- 水が浸透する素材で包装・梱包
- キュービクル式の設備
- 一定の耐火性を有する箱
運ぶときと、置いておくとき。両方で同じ考え方が入ったということです。
ほかに、屋内貯蔵所や一般取扱所の基準そのものにも特例ができていますが、こちらは製造・充電を行う工場向けです。運搬業者が直接関わる部分ではありません。
現場ではこうなっている
改正を知らなくても、困っていないことが多いです。
理由は単純で、多くの現場は、そもそも指定数量に届いていないからです。届いていなければ、運搬容器の規制もかかりません。
問題になるのは、量が増えたときです。
私は消防職員として勤務した経験がありますが、「今までこうしてきました」は、量が変われば通りません。 量が変わった時点で、かかる規制も変わります。
増やす前に聞きに行く。 これに尽きます。
<!– 現場メモ用:運搬容器について消防に聞いたこと、言われたことがあればここへ –>
まとめ
- 令和7年5月14日公布、翌日施行(令和7年政令第191号・総務省令第49号)
- リチウムイオン電池は、運搬容器に入れずに積載できるようになった
- 条件は段ボールなどで包装・梱包/キュービクル式/耐火性の箱
- 「水が浸透する素材」なのは、火が出たとき水を通すため
- 指定数量に届いていなければ、そもそも関係ない
量と規制の関係は電池を溜めると消防法がかかる、箱の話は耐火性収納箱とはにまとめています。
※本記事は消防庁の公表資料をもとに整理したものです。実際の適用は、扱う品目・量・保管や運搬の形態によって変わります。 必ず所轄の消防本部にご確認ください。
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