荷台から煙が出た。ヤードの電池の箱から火が出た。
このとき、何を最優先にするか。 順番を先に決めておかないと、その場では判断できません。
結論
- 自力で消そうとしない。 最優先は人を離すことと、消防への連絡
- 消火器で表面の火は消えても、内部の発熱は止まらない
- 消えたように見えて再発火する。片付けを急がない
- 水をかけるかどうかは量で変わる。少量の水は逆効果になりうる
- 守るのは延焼を防ぐこと。電池そのものは救えないと考える

なぜ消えないのか
リチウムイオン電池の火災は、外から燃えているのではありません。
内部でショートが起き、発熱し、その熱が隣を壊し、また発熱する。連鎖が内側で続いています。 だから外から火を消しても、内部の連鎖は止まりません。
- 粉末消火器 … 表面の炎は消える。内部の熱は残る
- 砂をかける … 酸素を断てる。熱は残る
- 水 … 冷やす効果がある。ただし量が要る
共通して言えるのは、「見た目が収まっても終わっていない」ということです。
現場での優先順位
迷う場面なので、順番だけ決めておいてください。
① 人を離す
煙には有毒なガスが含まれます。消そうとして近づくのが、いちばん危ない。
② 消防に連絡する
判断に迷ったら呼ぶ。来てもらってから「大丈夫でした」のほうが、ずっといい。
③ 延焼を防ぐ
燃えているものを救おうとせず、周りを片付ける。可燃物を離す、車を動かせるなら離す。
④ 荷台なら、可能であれば下ろす
車を守るより、燃えているものを車から離す。積替保管の許可がなくても、緊急避難の行為です。ただし事後に管轄へ報告と相談を。
⑤ 片付けを急がない
消えたように見えても、時間を置いて再発火します。すぐに積み直さない、すぐに箱に戻さない。

水をかけるかどうか
ここは判断が分かれるところです。
大量の水で冷やし続けるのは有効とされますが、少量の水では足りません。 中途半端な水は蒸気を発生させ、かえって危険になることがあります。
結論として、現場での判断は「消防に任せる」が最も安全です。バケツ一杯の水をかけるかどうかで迷うくらいなら、その時間で人を離して通報してください。
現場ではこうなっている
いちばん多いのは、消したあとの油断です。
煙が収まった。火が見えなくなった。「よかった」と思って、そのまま荷台に積み直す。走行中にまた燃える。
最初の記事でも書きましたが、「火が見えなくなった=終わった」ではありません。
もうひとつ、保管中の火災が見落とされています。運搬中は人がいますが、ヤードに置いた箱から夜中に出火すると、誰も気づきません。朝になって建物ごと、ということが起こりえます。
だから保管の記事で書いた「屋外・日陰・可燃物から離す」が効きます。火が出る前提で置き場所を決める、という考え方です。
<!– 現場メモ用:発煙・発火に遭遇した話、そのときの対応があればここへ –>

起きる前にやっておくこと
- 消火器の位置を全員が知っている(場所が分からなければ無いのと同じ)
- ヤードの電池の箱を、建物から離す
- 夜間に無人になる場所に、電池を溜めない
- 事故時の連絡順を決めておく
そして根本的には、溜め込まないことです。量が少なければ、起きても小火で済みます。
まとめ
- 自力で消そうとしない。 人を離す → 消防 → 延焼防止
- 表面の火が消えても、内部の発熱は止まらない
- 再発火する。 片付けを急がない
- 水は量が要る。中途半端は危険
- 保管中の火災は誰も気づかない。置き場所で決まる
電池全体の整理は産廃の電池は3種類で考えるをご覧ください。
※消火方法や対応は状況により異なります。実際の判断は消防の指示に従ってください。
NEXT
次に読むなら
- なぜ電池を別にしてほしいのか|運ぶ側から説明します
「分けてください」と頼まれる側のための記事です。手間を増やしたいのではなく、理由があります。この1ページを見せてください。
- リチウムイオン電池が混ざると何が起きるか|収集運搬中の発火
圧縮した瞬間に燃えます。水をかけても止まりにくい。荷台で起きたときに何をするか、そもそも混ぜないためにどうするかを整理します。
- リチウムイオン電池の見分け方|現場で3秒で判断する
「充電できるか」で判断すれば、ほぼ外しません。マークの見方、膨らんだ電池の扱い、排出事業者への伝え方までまとめます。
許可の更新期限、把握していますか
産業廃棄物の許可は5年で切れます。更新申請の受付は期限の3か月前からのことが多く、窓口が予約制の自治体では直前だと2〜3週間先まで埋まっています。
許可証の有効年月日を入れるだけで、いつ動き始めればいいかが分かります。入力した内容はどこにも送信されません。
現場へ行く前に、その1件の利益が分かります
住所と廃棄物を入れると、燃料・高速・車両費・人件費・処分費を引いた手元に残る額を計算します。いくらで見積もればいいかも出ます。

