電池はどう保管するか|密閉するほど安全、とは限らない

車両・現場

電池を回収したあと、どこに、どう置いておくか。

ここが抜けている現場は多いと思います。運ぶときの話は気にするのに、降ろしたあとは床に置きっぱなしになる。

そして保管中に火が出ます。

結論

  • 容器は蓋付きの金属製(ペール缶など)。これが基本
  • ただし完全に密閉するとガスが溜まる。溜まれば爆発の危険がある
  • 火が出たときは密閉のほうが有利(酸素を断てる)
  • このふたつは相反する。 落としどころは「わずかに抜ける穴」
  • 置き場所は屋外・日陰・他の可燃物から離す

なぜ金属の蓋付きなのか

理由は3つです。

① 端子どうしの接触を防ぐ
電池が転がって端子が触れると、ショートして発熱します。蓋があれば中身が動きにくい。

② 火が出ても広がりにくい
段ボールやプラスチックの箱だと、容器ごと燃えます。金属なら容器は燃えません。

③ 雨をかぶらない
濡れるとショートの原因になります。

プラスチックの箱に入れて倉庫の隅、というのがいちばんよくない形です。

密閉と通気は相反する

ガスが溜まるという問題

ここが難しいところです。

  • 鉛蓄電池は、状態によって水素が出ます。水素は非常に燃えやすい
  • リチウムイオン電池は、熱を持つと可燃性のガスを出します

完全に密閉した容器に溜め込むと、ガスが抜けません。 そこに火種があれば、容器が圧力容器になります。蓋が飛びます。

つまり、

利点 危険
完全密閉 火が出ても酸素が入らない ガスが溜まって爆発
開けっ放し ガスは抜ける 火が広がる・雨・接触

どちらにも危険があります。 だから現場の答えは、真ん中になります。

落としどころ

「蓋はする。ただし、わずかに抜ける穴を開ける」

これが実務上のバランスです。

  • 蓋は閉める(接触・雨・延焼を防ぐ)
  • ガスが逃げる程度の小さな穴を開けておく
  • 穴は上側に(ガスは上に溜まる)
  • 大きく開けない(開けすぎると蓋の意味がなくなる)

完璧な答えではありません。 どちらの危険も残ります。ただ、どちらか一方に振り切るよりは安全です。

※消防法や各自治体の指導により、保管方法に別の基準が示されている場合があります。量が多い場合は特に、所轄の消防にご相談ください。

置き場所でほぼ決まる

置き場所でほぼ決まる

容器以上に効くのが、どこに置くかです。

  • 屋外に置く(屋内なら、火が出たときに建物ごと燃える)
  • 日陰に置く(直射日光で温度が上がると、熱暴走のきっかけになる)
  • 他の可燃物から離す(段ボール、木くず、廃油の隣は最悪)
  • 満杯にしない(詰め込むと接触が増える)
  • 人がいる場所から離す

「屋外・日陰・離す」の3つを守るだけで、最悪の事態はかなり防げます。

現場ではこうなっている

保管は、運搬より油断されます。

運ぶときは気をつけるのに、降ろしたら終わった気になる。事務所の裏に、何か月も置かれたままになる。

そして量が増えます。少量なら燃えても小火で済みますが、まとまると手に負えません。

もうひとつ、膨らんだ電池を一緒に入れないこと。見分け方の記事で書いた通り、膨張している電池はすでに内部でガスが出ている状態です。単独で、他と分けて置く。

<!– 現場メモ用:保管で工夫していること、ヒヤッとした話があればここへ –>

出すタイミング

溜め込まないことが、いちばんの安全対策です。

行き先が決まっていないから溜まる。 溜まるから危なくなる。順番としては、受け入れ先の確保が先です。

溜め込まないこと

量が増えると、消防法の話になります

ここまでは「安全に置く」話でしたが、量が増えると別の法律が関わってきます。

電池の中には電解液が入っており、危険物に該当する場合があります。危険物には指定数量という基準があり、

  • 指定数量の5分の1以上で、市町村の条例による届出
  • 指定数量以上で、貯蔵所としての許可

が必要になります。廃掃法の許可とは、まったく別の手続きです。

そして令和6年7月2日、リチウムイオン蓄電池の貯蔵に関する消防庁の通知が全部改正されました(消防危第200号)。この中で耐火性収納箱という考え方が整理され、通知にはこう明記されています。

例えば、大量の廃棄品(リサイクル予定のものを含む)を箱に収納して貯蔵する場合が想定されること

廃棄品の保管が、名指しで想定されています。 基準を満たした箱に入れれば、指定数量の倍数を合算しなくてよい、空地や防火塀が不要になる、といった扱いが示されました。

ただし条件があり、腐食や液漏れのあるものが「概ね10%未満」であることを目視で確認できることが求められます。選別が前提です。

詳しくは電池を溜めると消防法がかかると耐火性収納箱とはにまとめました。

まとめ

  • 容器は蓋付きの金属製。プラ箱・段ボールは避ける
  • 完全密閉はガスが溜まる。開けっ放しは火が広がる
  • 落としどころは「蓋+わずかに抜ける穴(上側)」
  • 容器より置き場所が効く。屋外・日陰・可燃物から離す
  • 膨らんだ電池は単独で
  • 最大の対策は溜め込まないこと
  • 量が増えると消防法。指定数量の5分の1以上で届出

電池の種類ごとの違いは産廃の電池は3種類で考えるをご覧ください。

※保管方法は消防法や自治体の指導の対象になることがあります。量が多い場合は所轄の消防にご相談ください。

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