「太陽光パネルの廃棄が大変なことになる」という話は、何年も前から言われています。ただ、まだ自分の現場には来ていないという人がほとんどだと思います。
それで正しいです。ただし、準備を始める時期としては、もう遅くありませんという段階に入っています。
結論
- 大量廃棄のピークは2030年代。2012年前後に一気に設置されたものが寿命を迎える
- 撤去の仕事自体は、すでに発生している。災害での破損、事業者の撤退、建て替え
- パネルには鉛・セレン・カドミウムなどが含まれる場合がある。メーカーと製品による
- 産廃としては混合物。ガラス・金属・プラスチックが1枚に固まっている
- 受け入れ先が限られる。取扱品目に入っていなければ事業範囲の変更許可が要る
なぜ2030年代なのか
日本で太陽光発電が一気に増えたのは、2012年に固定価格買取制度(FIT)が始まってからです。わずか数年で、それまでの何倍もの設備が設置されました。
パネルの寿命は、一般に20〜30年とされています。2012年に設置されたものが、そのまま2030年代に寿命を迎える。設置が集中した分、廃棄も集中するというのが「大量廃棄問題」の中身です。
推計値は機関によって幅がありますが、年間で数十万トン規模という試算が出ています。数字そのものより、「今の処理能力では受けきれない量が、特定の時期に集中する」という構造を押さえておけば十分です。

費用は積み立てられている
意外と知られていませんが、廃棄費用を前もって積み立てる制度がすでに動いています。
2022年7月から、一定規模以上の事業用太陽光発電設備について、売電収入から廃棄費用が天引きされる仕組みが始まりました。発電事業者が「あとで払えません」となるのを防ぐためです。
つまり、
撤去のときには、お金が用意されている可能性がある
ということです。「予算がないから安くしてくれ」と言われたときに、この制度を知っているかどうかで交渉が変わります。知らない発電事業者も多いので、教えてあげられる立場になれます。
※対象となる規模や運用の細部は制度改正で変わります。実際の案件では必ず最新の要綱を確認してください。
産廃としては何になるのか
1枚のパネルの中に、複数の素材が固まっています。
| 部位 | 素材 |
|---|---|
| 表面 | ガラス |
| フレーム | アルミ(金属くず) |
| 封止材・バックシート | 樹脂(廃プラスチック類) |
| 内部配線 | 銅・銀 |
| セル | シリコン、製品により鉛・セレン・カドミウム等 |
分解しないと分けられません。 そのままでは「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」「金属くず」「廃プラスチック類」の混合物として扱われるのが一般的です。
問題は有害物質です。すべてのパネルに入っているわけではなく、メーカーと製品によります。だから現場では、
どのメーカーの、いつのパネルか
が分からないと判断できません。撤去時に型番を控えておくと、受け入れ先とのやり取りが速くなります。

現場ではこうなっている
「太陽光パネル、運べますか」という問い合わせは、すでに来ています。
来るのは大量廃棄のピークではなく、こういうきっかけです。
- 台風や積雪で割れた
- 発電事業者が撤退する
- 建物の建て替えで外す
- 屋根の葺き替えで一時的に外す
そして多くの場合、断ることになります。理由は2つ。
- 取扱品目に入っていない。 許可証に「ガラスくず…」が無ければ運べません
- 持っていく先が無い。 受けてくれる処分場を知らない
この2つを先に潰しておけば、問い合わせが来た日に「受けられます」と言える。競合がまだ受けられない時期に受けられることには、価格以上の意味があります。
<!– 現場メモ用:太陽光パネルの問い合わせや、断った経験があればここへ –>
今のうちに押さえておく3つ
① 自分の許可の取扱品目を確認する
許可証を見て、ガラスくず・金属くず・廃プラスチック類が入っているか。入っていなければ、事業範囲の変更許可が必要です。届出ではなく許可なので、時間がかかります。
② 受け入れ先を1つ見つけておく
「太陽光パネルを受けられますか」と処分場に聞いてみてください。断られる前提で、複数当たっておくと安心です。
③ 運ぶ手順を決めておく
割れたパネルは飛散します。そして光が当たっている限り発電し続けるという、この品目特有の危険があります。ここは次の記事で詳しく扱います。
よくある間違い
❌ まだ2030年代の話だから関係ない
撤去の仕事はもう来ています。来てから準備すると間に合いません。
❌ ただのガラスと金属でしょう
有害物質を含む製品があります。型番の確認が要ります。
❌ 取扱品目は後から足せばいい
変更「許可」なので、審査に時間がかかります。問い合わせが来てからでは遅いです。

まとめ
- ピークは2030年代。ただし撤去の仕事はすでに発生している
- 廃棄費用の積立制度が動いている。発電事業者に資金がある可能性がある
- 産廃としては混合物。有害物質の有無はメーカーと型番次第
- 今やること=取扱品目の確認/受け入れ先の確保/運搬手順の整備
取扱品目を増やす手続きについては積替保管なしの許可で一旦事務所に置くでも触れています。運搬時の危険は太陽光パネルを運ぶときの実務にまとめました。
※制度は改正されることがあります。実際の申請前に管轄自治体の最新の要綱をご確認ください。
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鉛・セレン・カドミウム。すべてのパネルに入っているわけではありません。だから型番が要ります。
許可の更新期限、把握していますか
産業廃棄物の許可は5年で切れます。更新申請の受付は期限の3か月前からのことが多く、窓口が予約制の自治体では直前だと2〜3週間先まで埋まっています。
許可証の有効年月日を入れるだけで、いつ動き始めればいいかが分かります。入力した内容はどこにも送信されません。
現場へ行く前に、その1件の利益が分かります
住所と廃棄物を入れると、燃料・高速・車両費・人件費・処分費を引いた手元に残る額を計算します。いくらで見積もればいいかも出ます。

