名義貸しはなぜ成り立ってしまうのか|書類だけは揃う

法令・改正

名義貸しは、法律で明確に禁止されています。

それでもなくなりません。理由は単純で、形式上は書類が揃ってしまうからです。

結論

  • 産業廃棄物処理業者が、自分の名義で他人に事業を行わせることは禁止されている
  • 成り立つのは、車に表示を貼り、マニフェストに名前を書けば、書類上は整うから
  • 貸した側は許可取消し、借りた側は無許可営業
  • 「傭車」のつもりが名義貸しになっている場合がある

どういう形で起きるか

典型的なのは、この3つです。

① 車と運転手を借りて、自社の表示を貼らせる
繁忙期に台数が足りない。知り合いの運送会社から車を借り、自社のマグネットを貼ってもらう。

② 無許可の業者に、自社名義で運ばせる
許可を持っていない業者が仕事を取ってきて、許可業者の名前で動く。

③ 名前だけ貸して、手数料を取る
実態としては何もしていないが、書類上は自社が運んだことになっている。

①は、悪意なく始まります。 「車を借りただけ」という感覚です。

書類だけなら作れてしまう

なぜ書類が揃ってしまうのか

産業廃棄物の適法性は、書類で確認されます。

  • 許可証がある
  • 車に表示がある
  • 委託契約書がある
  • マニフェストに名前が書いてある

これらは全部、実態がなくても作れます。 マグネットは貼れば貼れる。契約書は結べる。マニフェストには名前を書ける。

だから、書類だけ見ている限り、名義貸しは見えません。 見えるのは、

  • 誰が実際に運転していたか
  • 誰が指示を出していたか
  • 誰に運賃が入っていたか

という実態だけです。

「傭車」との境目

運送業では、他社の車と運転手を借りる「傭車」が普通に行われます。産廃では、これがそのまま通用しません。

線引きは、誰の指揮命令で、誰の責任で運んでいるかです。

扱い
自社が車両を借り、自社の運転手が運ぶ 使用権原があれば適法になりうる
他社の車に他社の運転手が乗り、自社名義で運ぶ 名義貸しの疑い
他社に運搬そのものを頼む 再委託。原則禁止

運転手ごと借りているなら、それは「他社が運んでいる」と見られます。表示を貼り替えても変わりません。

車だけか、運転手ごとか

現場ではこうなっている

本人たちに違法という自覚がないのが特徴です。

「困っているから手伝ってもらった」「同じ業界の助け合い」。実際、仕事は回りますし、荷物も適正に処分されていることが多い。事故が起きるまでは何も問題が起きません。

問題になるのは、

  • 事故や不法投棄で、誰が運んだのかを追われたとき
  • 立入検査で、運転手の雇用関係を聞かれたとき
  • 労災が起きて、誰の従業員かが問題になったとき

このとき、書類と実態が食い違っていることが一度に露見します。

貸した側の処分は重く、許可取消しがあり得ます。許可は事業の土台なので、取り消されれば廃業です。「手伝っただけ」の代償としては、釣り合いません。

<!– 現場メモ用:傭車や応援で迷った場面、断った判断があればここへ –>

困ったときの正しい道

手が足りない場面は実際にあります。選択肢は再委託の記事と同じです。

  1. 排出事業者から直接契約してもらう(いちばん速い)
  2. 書面による承諾を得て、正規の再委託にする
  3. 断る

「車だけ借りて、自社の運転手が乗る」なら、使用権原の問題として整理できる場合があります。ただし車両の届出が必要な自治体があるので、車両の変更届と合わせて確認してください。

「手伝っただけ」では済まない

まとめ

  • 名義貸しは法律で明確に禁止されている
  • 成り立つのは、書類だけなら実態がなくても作れるから
  • 見られるのは実態。誰が運転し、誰が指示し、誰に運賃が入ったか
  • 運転手ごと借りれば、他社が運んでいると見られる
  • 貸した側は許可取消し。手伝った代償としては重すぎる

※判断は個別の事情によります。迷う場合は必ず管轄自治体にご確認ください。

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